第9話


「ふーん。涼ちゃんがオニギリくん、左くんがカズくん、 風ちゃんがブッチャくんにミツルがイッキくん、んでアキラが咢ねぇ・・・。 予想通りといえば予想通りな組み合わせかも」
ちゃんの勝敗予想は?」
「うーん・・・。ミツルとアキラが負けて、3-2でベヒーモスの勝ちって感じかな。 ブッチャくんがどこまでいけるか――かなぁ。カズくんとオニギリくんは負けると思う」
「なーるほどねー」
「シムカは?」
「え、私?秘密!」
「えー・・・ずるい。でも涼ちゃんのアレはあんまり見たくないかも」
「スタイルいいし、目の保養だと思うけどなぁ」
「だって相手がオニギリくんだよ? 確かオニギリくんって学校で『エロ魔王』って言われてたし、いやな予感・・・」

プラグマンの下品な実況解説を聞き流しつつ、シムカとの話に花を咲かせる。
私、あんまりプラグマンの実況好きじゃないんだよね。 バトルの度に『超獣』の妹だとか言われるし・・・。
するとスピット・ファイアが近づいてきて、シムカの反対隣に立った。


「二人とも・・・バトルを見なくていいのかな?」
「「あ。」」



『―――ながっ!!太っ!!長いっ!!太いっ!!なんだコイツは! 黒人もビックリの超ビックコックだ!!なんなんだコイツは〜〜〜〜!』



「へぇ、ビックリだね。風ちゃん気絶しちゃってるよ」
「まぁそうこなくっちゃね、カラス君達!」



『しょっぱなからとんでもねェことになっちまいやがった!! なんなんだ、このFクラスのコゾー共はっ!!』



「・・・――でも、盛り上がってるところ残念だけど、風ちゃんは起き上がると思うなぁ」

一言呟いて、A.Tのロックを外す。

「どっか行くの?」
「うん。林檎ちゃんとこに」
「私もあとから行くねー」
「分かった」





バトル中だから他のところは空いているかと思いきや、意外とそうでもなく、 さっき外したロックをまたかけて、私は普通に歩いていた。


「ん?・・・鵺」

振り向くとそこにはさっきまで一緒にいた雷の王。

「バトル見てなくていいの?」
「どうせまだ終わんねぇだろ。・・・もそう思って出てきたんだろ?」
「はは、お見通しか。・・・まだアキラと咢は話し中みたいだからね。早くバトル始めればいいのに」
「積もり積もった話でもあんだろ、きっと」

壁によって、話をする。
思えば鵺と二人きりで話したのは久しぶりかもしれない。

「なぁ、・・・」

「ん?」





「・・・百鬼、続けるのか?」





私の笑顔が、固まった。



next

2006/8/3 UP