first contact

あれから1週間。
雨が降った火曜日以外は、屋上でお昼ご飯を食べた。
今も屋上に続く階段を上っている。



平和島先輩と初めて目が合ってから毎日のように、 同じ場所で、やっぱり2mくらいの距離を取って別々にお昼ご飯を食べる日が続いていた。
最初の2日間は一方的に気まずかったけれど、 特に会話をするでもなく、お互いに自分のパンを食べるだけ。 そんなお昼休みの40分間。そして、その時間が楽しみになっている自分に気付いた。
なんだか落ち着く。なぜだろう。話したこともないのに。



この1週間で分かったことは、平和島先輩はとても穏やかな人だということ。
観察した限りでは、絡まれない限りはとても静かな人だった。 何か怒らせるようなことをしたり、折原先輩が絡むと狂暴になる、らしい。 この屋上タイムを満喫するために、絶対平和島先輩を怒らせるようなことはしないようにしなきゃ。 今のところの高校生活唯一の楽しみをそんなことで失うのもなんだか癪だし。


ケータイをいじりながら上っていくと、階段の終わりが見えた。 そのままドアを開けると、何かにぶつかった感覚がした。…開かない。 10cmほど開いた隙間から、おそるおそる覗き込むと、こちらを睨みつける平和島先輩がいた。





げ、ぶつかっちゃった



さっき怒らせないって決めたんだけどな・・・。






ドアから顔をのぞかせる私。
すごく怖い顔だったけど、すぐ普通に戻った平和島先輩。
そしてなんだか不穏な空気。


「あの…すいませんでした。大丈夫ですか?」
「……大丈夫だ」
「結構がっつり当たりましたよね…。ホントすみませんでした」
「……大丈夫だ」

平和島先輩と初めて会話したその時、平和島先輩じゃない声がした。

「あれ、1年の…確か、さんだっけ?」
「あ、はい、そうです。失礼しました」

まさか折原先輩もいたとは。
あ、もしかして平和島先輩と対峙してた、とか?


とりあえず、私は折原先輩とあまり接触したくなくて、足早に屋上を去った。
何で私の名字を知っている。特別目立ってるつもりもないんだけど、やっぱり、仕方ないんだろうか。
なんとなく、ため息がでた。




(面倒くさいことにならないといいけど)



20100515→20100518修正