6月。
梅雨の季節である。
連日の雨で、屋上ランチは自粛中。仕方ないから、教室で食べたり、徘徊して静かなところを探したり。
でもやっぱりなかなかいいところはなかった。いいと思ったら先生が来て声かけられたりとか。
こうなったら屋上に続く階段でもいいかなと思って、パンと紙パックを持って移動中。
「」
「あ、平和島先輩」
どうやら先輩も同じ考えだったらしい。
一番上に平和島先輩が座っていたから、私は二段下に座った。一段下だと平和島先輩の足が当たるから。
今日は軽めのパンだから、すぐに食べ終わってしまい、平和島先輩観察をすることにした。
いつも惣菜パンを食べてる先輩だけれど、今日はメロンパンらしい。
ちなみに私はいつも菓子パン。油っこいのが苦手だから、コロッケパンとか、焼きそばパンとかはあまり好きじゃない。
お肉の脂は平気なんだけど、サラダ油的なのが苦手。フライとか。
しかし、平和島先輩の髪は綺麗な金髪だな。
私も金髪って言ったら金髪だけど、白銀に近い金髪だからなぁ。ブリーチしてるのかな?でも痛んでなさそう。
顔もかっこいいし、完璧だなあ…
「ん?」
「あ」
さすがにガン見しすぎたのか、平和島先輩と目が合った。
「なんだ?もう食べ終わったのか?」
「あ、はい」
「足りないのか?もう一個あるから食っていいぞ、これ。綺堂、菓子パンしか食わねぇもんな」
そう言って、平和島先輩は右手にメロンパン、左手にソーセージパンを持って…右手を差し出してきた。なんてこった。
「い、いや」
「遠慮しないでいいぞ。食いかけだけど」
「えっと……じゃあ……イタダキマス」
残り半分のメロンパン。
何だ、間接キスじゃんこれ。あああ意識するなわたし!
思い切ってがぶっと食いつき、平常心に努めて食べきった。
「…ごちそうさまでした」
「おう」
なんだその満足げな顔。意識してる自分が恥ずかしくなる。
「そういえば、」
「はい?」
「苗字じゃなくて、名前でいい」
「は、はあ…」
「……んで、名前で呼んでいいか」
「ええ…まあ……じゃあ私も静雄先輩、で…」
「おう」
何だか改めてこういう会話をすると照れる。平、…静雄先輩の顔も若干赤く見える。
…間接だけど。