七月も半ば。東京はそれはそれは暑い。
教室は冷房が効いていて気持ちいいけれど、廊下はとても蒸し暑い。
屋上はさんさんと日差しが降り注いでいてやっぱりすごく暑いけど、時たま吹く風がとっても気持ちいい。
お昼休みになり屋上に向かう。今日のお昼は購買のパン。寝坊してお弁当を作れなかったので、三時間目と四時間目の間に購買に走って買った。なんだかおいしそうで、必要以上に買ってしまったんだけど。もし多かったら夕方食べるか静雄先輩にあげてしまおう。
屋上に続く階段を駆け上がり、扉を開けると、ちょうどよく涼しい風が吹いていた。静雄先輩が来ていないかと屋上を見渡した。そこに、大の字に寝ている金髪の頭が…。
「なんで上半身裸なの…」
前の授業からいたのか。きっとそうだよね。何も持ってないし。爆睡してるし。
シャツを丸めて枕にしている静雄先輩は上半身裸。暑かったからなのか…。近くまで寄ってみたけど反応なし。爆睡中。
鍛えているのか締まった体。白すぎず健康的な肌。閉じられた瞼。意外に長い睫毛。
「しずおせんぱーい…」
静雄先輩の隣にしゃがみ、ちょっと音量を抑え目に声をかけてみたけど起きる気配もない。
なんだか寝ている人の隣――しかも上半身裸――でパンを食べる気にもならなかった。今日は階段で食べよう。
立ち上がり、今来たばかりの道を引き返そうとした。
「…きっと起きたらお腹すいてるよね」
今自分が持ってるのは焼きそばパン、メロンパン、チョココロネ、ソーセージパン。自分のやったことながら大量に買ったもんだ。(でもみんなおいしそうだったんだもの)焼きそばパンとメロンパンを静雄先輩のお腹の隣において、スカートのポケットからハンカチを取り出してパンの上においた。直射日光よくないしね。
「一応、メールしとこ」
よかったらパン食べてくださいね、と一文だけ書いたメールを送信。どこからかバイブの音が鳴った。それでも起きる気配なし。微動だにしてない。よくここまで寝れるなぁ…
最後にちらっとだけ、また静雄先輩の体を見る。