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五時間目が終わるチャイムが鳴り響く。
あと一時間、古典の授業が終わったら帰れる。古典は苦手だから、気合入れないと。理解できないままだと夏休みの宿題、ひいては期末テストで大変な目に合うことになる。中間テストは散々だったからなぁ…。

「起立、礼」
「ありがとうございました」

学級委員の声と先生の声。その声にまぎれてケータイのバイブが鳴った。
ざわざわし始める教室の中で、ケータイを開く。静雄先輩からだ。やっと起きたんだ。



2002/07/13 14:00
From : 平和島静雄
Sub : 無題

悪い、寝てた。
パンありがとな。うまかった。
放課後空いてるか?もし空いてたら返事くれ。



-END-




簡潔な文章が静雄先輩らしい。すぐに「空いてますよ」と返事を送った。すると一分もたたないうちに返事がくる。



2002/07/13 14:02
From : 平和島静雄
Sub : 無題

了解。HR終わったら校門で。
次の授業は出る。



-END-




くすっと笑いが漏れた。一体何時間寝てたんだろう。
静雄先輩と一緒に帰るのは二回目か。楽しみだなぁ。苦手な古典も頑張れる気がする。




気合を入れたおかげか、集中力もいい感じで古典の授業はいつもより分かったし、いつもよりも時が経つのが早く感じた。
HRも特に連絡事項もなくあっさり終わり、校門に向かう。 まだ静雄先輩は来ていなかったけど、そろそろ来るだろう、と携帯片手に門に寄りかかった。


「待たせたな」
「あ、おはようございます」
「ああ…3時間目から爆睡してた」

静雄先輩は来るなり苦笑いしてた。行くか、の声に合わせて動き出す。
当たり前だけどちゃんと上半身には真っ白いシャツ。


「今日は風が気持ちいいですね」
「これからもっと暑くなると思うと嫌になる」
「でもあと一週間もすれば夏休みだと思うと楽しみです」
「そうだな」


静雄先輩と向かった先は、駅前に新しくできたアイス専門店。パンのお礼だ、といって静雄先輩はダブルカップを奢ってくれた。
私はチョコチップとストロベリー。静雄先輩はチョコミントとバニラミルク。 公園のベンチに座って二人でアイスをつつく。


「いただきまーす」
「おう、食え食え」


暑い中で食べるアイスが絶品すぎて、黙々と食べていたらすぐになくなってしまった。
顔を上げると静雄先輩と目が合う。


「お前アイス好きなんだな」
「…はい」
「これも食っていいぞ」


ほら、と静雄先輩が自分のアイスを差し出す。


「いや、でも…」
「いいから。ちょっと溶けかかってるけどよ」
「じゃあお言葉に甘えていただきます」


いつだったか前にも同じようなことがあった気がする。私がまた食べ始めると、静雄先輩は笑って私の髪をくしゃくしゃとかき混ぜるように撫でる。なんだか気恥ずかしい。


の髪、太陽に当たると光ってるみたいだな」
「…静雄先輩の髪だってキレイですけど」
「いや、俺のは色抜いてるだけだけどさ。天然の金髪ってすげーきれいだ」

笑いながら言う先輩。恥ずかしすぎる。
ちょうど食べ終わった私はゴミ箱目指して走った。



…惚れたかも




(静雄先輩が、かっこよすぎて)
(今なら恥ずかしさで死ねる)



20120406