01.ふたりぼっちの教室

何で僕が。



スリザリン5年生、セブルス・スネイプは、不愉快の原因のグリフィンドール生を横目で見た。
運悪く、グリフィンドールに所属する女生徒の面倒を何故かみることになってしまったのだ。
この生徒は同じ学年で、グリフィンドールのくせに教授に気に入られる程度には魔法薬学の成績がいいらしい。
大体教授も教授だ。
何で僕に生徒の面倒を押し付けるのだ。
こいつだって5年生なのだから、僕がいなくたって何の問題もないだろう。
僕だって今日はやりたいことがあったんだ。なのに…

「あー、ミスター・スネイプ?」
「何だ」
「付きあわせちゃってごめんね。あなたも実験したいものがあったんでしょう?」
「全くだ」
「もうちょっとで終わるから」

もうちょっと、とはいえそろそろ夕食の時間だ。
今日は実験できないのは明らかだろう。仕方がないが。

「よし!」

いきなり女が声を上げたから、思わず吃驚して声の方向を向いてしまった。
彼女は清清しいまでの爽やかな笑顔を放っていた。

「ミスター・スネイプ、今日は本当にありがとう!」
「いや…僕はセブルス・スネイプだ。ミスターなんてつけなくていい」

はっきり言って、自分で言ったことに自分で驚いた。
今まで自己紹介なんて、僕が自分からしたことはほぼ皆無に等しかったのに。

「えぇと、じゃぁ…セブルス?私はでいいわ!」
「お前がだったのか」
「…でいいって言ってるのに」

グリフィンドールのといえば、ホグワーツでそこそこ有名な存在だ。
かの忌まわしき悪戯仕掛人の4人組に次ぐほど。
ブラックとルーピンから猛烈アタックを受けても絶対に屈しない、
しかもそれが4年も続いているということで校内に名を馳せている。
名前を聞いて、よくよく顔を見てみれば、確かに綺麗な女だった。
しかし、初対面なのにいきなりファーストネームとは…馴れ馴れしい女だな。
だけど…何故か嫌ではなかった。

「もし嫌じゃなかったら大広間に一緒に行かない?もうすぐ夕食だし」
「あぁ、構わないが」
「良かった!」





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2006/1/14 UP