「な…な、」
「『な』?どうしたの、一体」

図書室に続く廊下で、スネイプはに遭遇した。
クリスマス休暇に入ったので、はここのところ毎日、朝から図書館通いをしていた。
そんな勤勉なを見た瞬間に、固まるスネイプ。

何だ、その頭は!!
「何って言われても…頭は頭なんだけどな」

は、訳の分からないことを言う育て親に、呆れ顔でぽりぽりと頬を掻いた。
そして、廊下で騒ぐのはあまり良くない、と感じたスネイプは、自分の研究室までを引っ張っていくと、再びに向き直った。






「我輩が言っているのはそういうことではない!
 何でそんなに髪が短くなっているのだ!」






スネイプが思わず怒鳴ると、は一気に挙動不審に陥った。

「あー、髪?うーんと、えーと…まぁ、ははは」
の髪は艶があって美しかったのに。何故なくなっているんだ」
「別にいいじゃない。そこまで短くないでしょ」
「理由を言いたまえ」

睨むスネイプに押し黙る。

スネイプの機嫌が悪くなるのも無理はなかった。
何故なら、2日前に会ったときには腰ほどまであったはずの、スネイプのお気に入りでもある漆黒のストレートの黒髪が、
今日になって肩より少し下あたりまでの長さのミディアムヘアになっていたのだから。

「いや、怒ると思うから」
「ほう…。怒ると思うということは、大方ウィーズリーの仕業だな?」
「あ」

墓穴を掘ってしまった。
は少し項垂れると、観念したように、昨日のフレッドとジョージの悪戯のことをを話し始めた。

「――それで、仕方ないから髪を切ることにしたの。だって綺麗にするのは大変でしょう?
 ああ、そう。これね、レイブンクローの4年生のペレロピーに切ってもらったの!上手いわよね。
 パーシーの友達で、紹介してもらったのよ。短いのも結構似合ってると思わない?
 でも冬だからちょっと寒いんだけど――…セブルス?」

話し始めるとなかなか勢いが収まらず、落ち着いたところでがスネイプに目を向けると、
スネイプは両の手をぐっと握り締め、眉間の皺をいつもよりも深くし、目を瞑って怒りに堪えているような凄まじい形相をしていた。

「セブルス、どうかしたの?…大丈夫?」






またウィーズリーか!
 今までは我輩とフィルチだけが被害を被っていたようなものだからいいものを!
 にまで悪戯の矛先を向けおって!」






「いや、あの…セブルス?これは違くて――」
「もう我慢がならん!」

一言叫ぶと、スネイプは研究室の扉を勢いよく開けて、外へ出て行ってしまった。
あのような状態のスネイプに『スネイプが掛かるはずの悪戯に掛かってしまった』なんて誰が言えようか。
火に油を注ぐことは間違いない。
仕方なくが後を追っていくと、大広間に向かっているようだった。

もしかしたらフレッドとジョージを探しているのかもしれない。
もうすぐお昼だ。きっと彼らなら既に大広間に揃っているだろう。

長いローブを翻しながら、スタスタと長いコンパスを生かして優雅に歩いていくスネイプ。
凄まじい形相さえなければ格好良いのに。はため息を吐いた。





大広間に着き、案の定フレッドとジョージが魔法のチェスをやっているのを確認すると、
スネイプはジョージの後ろ――フレッドの向かい側で歩みを止めた。
フレッドは何事かと目を見開いている。

スネイプは大声を出すために軽く息を吸った。


ウィーズリー!
 やっていい事と悪い事の区別さえつかぬほど愚かとは!」


凄まじい声に吃驚して、学校に残っている僅かな生徒と先生の全ての対の目がスネイプと双子に降り注いだ。
延々と小言を言った後で、スネイプは「この始末、どうつけてくれようか!」と締めくくった。

「ウィーズリー…罰則だ。昼食を食べ終わったら我輩の研究室に来るがいい。もちろん二人揃ってだ」

猫なで声で罰則を告げると、スネイプはを置いて、何事もなかったかのように颯爽と大広間を去っていった。
フレッドとジョージに怒鳴りつけたことで、幾分かは沸騰した怒りも収まったかのようだった。



「フレッド…ジョージ…ごめんね」
「いや…構わないよ…」
「でも…まさかあそこまで怒るとは…」

と、そこへ事の次第を見守っていたマクゴナガルが声を掛けた。

「ミス・。一体どうしたのです?」
「マクゴナガル先生…」

実はこのマクゴナガル、スネイプのの溺愛ぶりを知る、数少ない教師である。

「髪を切った原因が昨日の悪戯の所為で――」
「あぁ、そういうことですか」

が説明をするとマクゴナガルは、納得がいった、という顔で頷いた。

「ミスター・ウィーズリー。諦めなさい」

その言葉に更にげっそりとするフレッドとジョージであった。





2006/1/17 UP
相互記念に紅蘭ベリィさま、雪姫花さまに捧げます!
お礼になってないお礼ですが、良ければお納めくださいませ!
連載主人公で、時間軸は2年生(賢者の石の前の年)です。
悪戯の内容は本編をお楽しみに(大体予想はつくと思いますが…)
親バカなセブルスを味わっていただければ…と(笑
スネイプ教授の「大方ウィーズリー〜」はかまかけでしたw

相互ありがとうございました!