第3話 スカートの下にスパッツを穿いて、A.Tの靴紐をしっかりと結んだ。 ―――バトル以外で舞うのは初めてかな… はちょっとした準備体操に柔軟をして、『舞』のスタート位置についた。 ―――『私の技はバトルの一連の流れで出るものだから、一つ一つを出せって言われても無理なんだよねー。だから今回は、ハードルに見立てて見せるから!因みに敵役は咢!』 ―――『はぁっ!?ファック、勝手に決めんな!…ったく、死ぬのは御免だからな!』 ―――『手加減するから、大丈夫っしょ!』 A.Tを持ってる男子はと咢の周りで2人の様子を伺っている。 女子たちはA.Tを持っていないので校舎全体が見える屋上に立っている。 が腕を上げ、空を指さした。 「咢ッ、行くよん」 「チッ」 A.Tを稼動させる2人。 1秒後、2人がいた場所には誰もいなかった。 「なっ、速ェ!」 「このスピードじゃついていけないね、屋上に戻ろう」 5人は屋上に向かって走り出した。 * * * * * * * * * * * * * * 俺らは横目で咢たちを見ながら、屋上へ戻った。 「なんだ、アイツら…」 実力が違う。 かなりのスピードで技を出している。 手加減してコレなのか? 常人離れした動きだけれど、咢が言ったように『技』というより『舞』だ。 「デス=バタフライ…」 「林檎?」 「ううん、なんでもない」 * * * * * * * * * * * * * * 「いやぁ、久しぶりの運動は疲れるねぇ」 壁を登ってきてくるん、と一回転。 フィギュアスケートのように着地して、バトルのときよくやるようにポーズを決めた。 「チーム『百鬼』の『デス=バタフライ』。死の蝶、宇堂様を覚えておきな!」 「オイ、」 「あ」 咢に呼ばれて我に返る。 「ごめんごめん。いつもの癖でさー」 あはははは、と笑うと、男子どもが詰め寄ってきた。 「つーかお前何者だよ!」 「っていうか、『百鬼』ってあの伝説の!?」 「かっちょいーーーーっ!」 「まぁA.T始めて長いからね。そろそろ私はおいとまするよ!」 荷物を取って最短距離の校舎の壁を伝ってグラウンドに下りる。 後ろを振り返ると、 「また明日な―――――っ!!!」 すごく元気な声が聞こえた。 next 2005/9/18 UP |