第8話 「とうとう、この日がやってきたね」 「ああ」 「アキラ・・・私、もう行くけど大丈夫?」 「心配するな、大丈夫だよ」 「じゃあ、頑張ってね」 兄、アキラとの会話を終わらせ、ミツルや涼ちゃんにも頑張ってねと伝えて控え室を出る。 「どちらが勝つか――」 小烏丸が勝ったら、きっと運命が『始まる』。 勝っても負けても『始まる』ことに変わりはないけれど―― 「あ、ちゃん!こっちこっち!」 「シムカ!」 「ちゃんも来てたんだね」 「もちろん。アキラと咢の因縁の決着だからね」 「ちゃん的にはどっち?」 「――他のメンバーはともかく、アキラは――兄貴は、・・・・・・負けると思う。今の咢には風がついてるから」 「そっかぁ」 私が暗い顔をしているのに対して、シムカはニコニコとずっと微笑んでいる。 「ちゃんがその格好でこんな場所に来るの、久しぶりだね。やっぱり可愛いなぁ」 シムカはほのかに顔を赤くしながら、私の戦闘服姿を見つめる。 そんなにいいものでもないと思うんだけど・・・。 「ベヒーモスの試合結果によっては、ジェネシスが動くんでしょ? そうなったら百鬼も何かしら行動すると思うから、今日は百鬼代表ってことで来たんだ。 それに、もうすぐ百鬼は完全復活するからね」 「そうなの?バトルのときは絶対呼んでね!神楽のバトルも綺麗だけど、百鬼のバトルは格別なんだよね」 「ありがと。そう言ってもらえると嬉しいよ。ウチはプライド高いの多いからね」 お互いに笑いあっている時に、後ろから気配がし、振り返ると2人の男がこちらに向かって歩いてくるところだった。 一人は鵺。もう一人は――スピット・ファイア。 「げ」 「やあ、ちゃん」 「どうも」 「、久しぶりだな」 「鵺は相変わらず重装備だね」 「まぁな。こればっかりはしょうがねぇよ」 私は会話をしながら、ジリジリとスピット・ファイアから遠ざかるように後ずさった。 「ちゃん、大丈夫かい?顔色があまり良くないな」 「い、いえ。結構です。大丈夫ですよ」 あんたのせいだ!あんたの! 私はハハハ、と乾いた笑いを濁しながら一応返事をした。 ――私はこの炎の王、スピット・ファイアが大の苦手だ。 なぜ苦手になったのかはさておき、この苦手意識は一生治りそうにもない。 騒がしくなったのでふと中央に目を向けると、小烏丸が入り、ベヒーモスが臨戦態勢になったようだ。 「小烏丸――――!!!ブッ殺!!!!」 「小烏丸・・・どこまでやってくれるのかな」 next 2006/7/4 UP |