「とうとうこの日がやってきた!」
「鬼のような宿題を今日だけは忘れよう!」

「「クィディッチだ!」」


朝っぱらからお互いに肩を組んで盛り上がるフレッドとジョージ。

「二人とも、クィディッチが楽しみなのはよーく分かるわ。
 けどね、まだ始まってないんだから落ち着いて朝食を食べた方がいいと思う」

フレッドとジョージを放って、黙々とサンドウィッチを頬張る

「なぁ、聞いたかい?リーのこと」
「聞いてないわよ?何かあったの?」
「「あいつ、クィディッチの実況をやるらしい!」」
「実況?いつの間に・・・」
「7年生のジャンが実況をやめて、リーを跡継ぎにすることにしたんだってさ!」
「そうなの?凄いわ」

そこへ、チャーリーと3年生のオリバー・ウッドがやってきた。

、おはよう」
「あら、チャーリー、オリバー、おはよう」
「おはよう」

挨拶を交わし、チャーリーはの隣に、オリバーはその隣に腰を下ろした。

「ハッフルパフ戦ね。がんばって」
「ああ、もちろんさ。オリバーは優秀なキーパーだから安心してプレイできる」
「試合を見るのが楽しみだわ。ね、フレッド」

がフレッドに顔を向けると、フレッドもジョージもオリバーとの話に夢中になっていて、
に話しかけられたことには全く気づいていないようだった。

「振られちゃった」

肩を竦めるようにしてみせると、チャーリーは微笑んだ。

「あいつらもオリバーもクィディッチが大好きだからな」

そしてチャーリーはパイを摘んで、ヨーグルトを食べると席を立った。

「じゃぁ僕はそろそろ行くよ。オリバー、行くよ」
「あ、じゃぁまたあとで」

オリバーはチャーリーの後を追いかけて、選手控え室に駆けて行った。

「二人とも、私たちもそろそろ行かない?いい席がなくなっちゃうわ」
「そうだね」
「行こう!」







とうとうクィディッチが始まった。
マダム・フーチがクアッフルを投げるとともに試合が開始し、
リーがマイクに向かって『グリフィンドール対ハッフルパフ!試合が始まりました!』と叫び、猛スピードで試合が展開していった。
は実際にクィディッチを見るのは初めてで、あまりの早さにどこを見ればいいのか分からなくなった。
そしてグリフィンドールはどんどんと点を入れていく。
ハッフルパフもそれに追いつけ追い越せと、必死の攻防を続けた。

「あ!チャーリーがスニッチを見つけたみたいだ!」

ジョージが急降下をするチャーリーを指差した。

『チャーリー・ウィーズリーがスニッチを掴みました!
 グリフィンドール対ハッフルパフ、190対20でグリフィンドールの勝利!』

リーの声が競技場内に響き渡ると、グリフィンドールの応援席から
『ウィーズリー!ウィーズリー!』という大きなコールが起きた。





「チャーリー!お疲れ様、凄かったわ」
「ありがとう」

談話室で盛り上がっているところにクィディッチの選手が帰ってきて、はチャーリーに声を掛けた。
正直もまだ興奮状態で、チャーリーも試合に勝ててとても嬉しそうにしていた。

「試合を生で見るのは初めてで・・・あんなに試合展開が早いだなんて思わなかった」
「最初はそうだろうね。でも楽しんでもらえてよかったよ」
「次の試合も頑張って!」
「うん、頑張るよ」

チャーリーと話し終えると、はフレッドとジョージのいるところに戻った。
そして今日の試合について「ここが凄かった」「あのプレイは最高だった!」と、夕飯の時間まで盛り上がった。





そしてその日の夜中、とフレッドとジョージは、誰もいなくなるまで談話室に残っていた。
そして、就寝時間の10時になったところで、たちは行動を開始した。

「この日をどんなに待ちわびたことか!」
「やっとホグワーツの探検が出来る!」
「二人とも、静かにしててよ」

そして、は杖を取り出し、例の呪文を唱えた。





「われ、ここに誓う。われ、よからぬことをたくらむ者なり」





杖が当たっているところから線が浮かび上がり、数秒後には地図が出来上がった。

「いつ見てもすごいわね」
「「全くだ!」」

そして、レイたちは談話室を後にした。
出るときに太った婦人に「あら、深夜のお出かけ?」と聞かれたけれど、
が「えぇ、ちょっと先生のところへ」と言ったので難なく外に出ることが出来た。





「夜の学校って不気味だよなぁ」
「それがホグワーツだと幽霊屋敷みたいだ!」
「実際ゴーストもいるしね」

小声でクスクス笑いながら進んでいく。

「どこに行く?」
「隠し部屋に行ってみるっていうのはどうだい?」
「それがいい!地図だとどこら辺だろうなぁ・・・」

空き教室に入り、地図を広げて杖明かりで隠し部屋を探してみる。
すると、2階の教室の近くに、隠し部屋に続くと思われる、見たことのない通路を見つけた。
その先に続く部屋には何も書かれていない。教室ではないらしい。

「ねぇ、ここ。何か怪しくない?」
「そうだなぁ・・・こんなところに通路なんてあったっけ?」
「よし、そこに行ってみよう!」

たちは、近くにフィルチの足跡がないかどうかを十分に確認し、空き教室を出た。



動く階段で下に下がり、廊下をそろそろと、音をたてないように移動する。
上の階と下の階では、下の階の方が先生の自室が断然多い。
音をたてて見つかりでもしたら、確実に減点だ。


「ジョージ!ここら辺かな」
「うん。場所的にはそこだと思うんだけど・・・」
「「何もないね」」
「何か合言葉か何か必要なのかしら」
「太った婦人の肖像画みたいに?」


は地図をローブにしまい、石壁を目の前にして腕を組みながら考え事を始めた。
フレッドとジョージは、壁に何か仕掛けがないかどうかを杖明かりを頼りに調べた。


そして数分が経った頃。





「ミス・、ミスター・フレッド・ウィーズリー、ミスター・ジョージ・ウィーズリー」





背後からのよく知る声が聞こえてきた。
3人はビクッとなり、ゆっくりと後ろを向いた。
フレッドとジョージの杖の光が当たって、スネイプの顔が不気味に映った。
まるでゴーストのように。
フレッドとジョージの顔が、思い切り引き攣った。

「「うわぁぁあぁぁ」」
「え、ちょっと、二人とも!?待ってよっ!」

脱兎の如く逃げ出す双子のウィーズリー。

も急いで追いかけようとしたが、スネイプの反射神経の方が反応が早かった。
今すぐここから逃げ出そうとするのローブのフードをがっしりと掴んだので、
走り出そうとしたは首を引っ張られたような状態になり、動けなくなってしまった。

「・・・どういうことか、お聞かせ願えるかな?ミス・
「あ、あはは・・・・・・ハイ」

は心の中で、逃げ去ったフレッドとジョージに悪態をついた。



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2006/1/31 UP  --2006/2/1 修正