「…ねぇ、この人たちがチャーリーとパーシー?」 「そう、僕らの兄貴さ!」 が小声でフレッドに尋ねる。 するとチャーリーはに向かって手を差し出した。 「僕はチャーリー・ウィーズリー。7年生だよ。ウィーズリー兄弟の2番目だ」 「・です。よろしくお願いします」 「よろしく、。敬語はなしだ!」 「僕はパーシー。3番目で、3年生。よろしく」 「よろしく、パーシー」 2人と握手を終えると、双子のウィーズリーが揃ってに耳打ちをしてきた。 「チャーリーはクィディッチのキャプテンで監督生なんだ」 「パーシーは超が付くほど生真面目でこの分だと再来年の監督生は間違いない」 「二人とも頭がいいのね!」 思わず声を大きくしてしまうと、チャーリーが照れたように頬を掻いた。 パーシーは気づいていなかったようで、隣の新入生とおしゃべりをしていた。 カン、カン、カン マクゴナガルがガラスのコップをスプーンで叩いて音を出すと、大広間が静まり返った。 それを見計らったように、ダンブルドアが立ち上がった。 「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう! 歓迎会を始める前に二言、三言、言わせていただきたい。 では、いきますぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこいしょい!以上!」 そして大広間全体が拍手と歓声を上げた。 「ダンブルドアって、聞いていたのよりも随分面白そうな人だな」 「何より歓迎会の最初にあの演説。たまらないな」 フレッドとジョージは顔を見合わせてにやりと笑うと、目の前に出てきたローストビーフにかぶりついた。 「やぁ、ニコラス卿」 「ニコラス卿?」 の耳にパーシーの声が入ってきた。 思わず聞き返してしまったは、その方向に目を向けると、一人のゴーストが宙に浮いていた。 「お嬢さん、初めまして」 「初めまして、ニコラス卿」 「「あ!ほとんど首無しニックだ!」」 「出来れば『ニコラス・ド・ミムジー-ポーピントン卿』と呼んでいただきたいものですな。 新入生のみなさん、入学おめでとう!歓迎しますぞ」 フレッドとジョージは首無しニックとの会話に夢中になってしまったので、は教職員席にいるスネイプを見た。 丁度目が合ったので『あとで会いに行くね』と口パクで伝えると、スネイプはしぶしぶながらも頷いた。 それを見ては満足げににっこりと微笑んだ。 「スネイプと知り合いなのかい?」 「えっ!?」 にチャーリーが話しかけてきた。どうやら先ほどの一連の行動を見ていたらしく、不思議そうにしている。 「実は、私の亡くなった母の親友で」 「そうなんだ、ごめんね」 はあえてスネイプが『育ての親』の一人であることを告げなかったが、 チャーリーは聞いてはいけないことを聞いたとばかりにすまなそうな顔をしていた。 「ううん、大丈夫よ。それで昔からの知り合いなの」 「ということははスネイプと仲がいいんだね」 「そうね、小さい頃から遊んでもらってたし。どうして?」 「いや…グリフィンドール生はみんな彼から嫌われてるし、彼もグリフィンドールは大嫌いらしい。 僕なんか1週間に1回は必ず減点されるんだ――魔法薬学が苦手なだけなのに。 いつかスネイプのグリフィンドール嫌いが治ってくれればいいと思ってたけれど、あと1年じゃぁ無理だろうね」 はスネイプのグリフィンドール嫌いはもう一生治らないと思う――と言おうとしたが、 何を思い出したのかチャーリーが凄く落ち込んでいるように見えたので止めておいた。 話を聞いた分には、あれだけジェームズや父親のシリウスにこっ酷くやられて、少々のことで立ち直れるとは思えない。 現に、リーマスがいるときにスネイプがやってきた時、彼はリーマスに一方的に睨みをつけて追い払ったこともあった。 豪華な料理がデザートまで消えたところで、ダンブルドアがまた立ち上がった。 そして、エヘン、と一つ咳払いをしてからまた話し始めた。 「全員よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言、三言言わせてもらおうかの。 新学期を迎えるにあたって、いくつかお知らせがある。 一年生に注意しておくが、構内にある森には入ってはいけません。上級生は分かっていると思うがの。 今学期は2週目にクィディッチの予選があります。寮のチームに参加したい人はマダム・フーチに連絡してください」 クィディッチの言葉に、双子のウィーズリーは目を輝かせて「やりたい!」と言ったが、 「1年生は駄目だ」とパーシーに軽くあしらわれてしまった。 「では、寝る前に校歌を歌いましょう!」 ダンブルドアが杖を振って、空中に歌詞を浮かび上がらせた。 「メロディを知らないのにどうやって歌うの?」 「さぁ。見てみろよ、マクゴナガルが仏頂面してる!」 がよく見てみると、マクゴナガルだけではなく、ほぼ全員の先生の表情が強張っていた。 「みんな自分の好きなメロディで!では、さん、し、はい!」 「は?」 ダンブルドアの声に合わせてみんなが歌いだした。 不協和音が大広間に響く。 どうしていいか分からず、が固まっているうちに校歌は終わってしまった。 「なんて奇抜なんだ!」 「これは新しい音楽を作り出すしかない!」 フレッドとジョージは既に来年の歓迎会に向けて、新しい、誰もしないようなメロディを考えようと意気込んでいた。 「あぁ、音楽は何にもまさる魔法じゃ。さぁ諸君、就寝時間。かけ足!」 グリフィンドールの1年生は、監督生のチャーリーに付いて大広間を出て階段を上り始めた。 ずっと階段を上っていくと、大きな肖像画のところに着いた。 そこで初めてチャーリーが振り返ると、1年生に向かって大きな声を出した。 「ここがグリフィンドール塔の入り口だよ」 目の前には太った婦人の肖像画がある。 そして太った婦人はチラッと全員の顔を見渡すと、チャーリーに聞いた。 「合言葉は?」 「ギュペシルク!……さぁ、中に入って!」 穴を抜けると、グリフィンドールの談話室に着いた。 「わぁ広い!」 「「すげぇ!」」 チャーリーに女子寮と男子寮の行き方を教えてもらい、疲れていることもあってか、はすぐさま横になりたくなった。 「じゃぁおやすみ、フレッド、ジョージ」 「「おやすみ、」」 女子寮の階段を上がり、自分の部屋に入るとは驚いた。 部屋の中には机が一つ、天蓋つきのベッドが一つ。 ベッドの横には自分のトランクが置かれている。 「――なんで一人部屋なのかしら・・・」 は一人呟いたが、きっと人数が合わなかったのね、と自分で納得し、ベッドにダイビングして眠りにつくことにした。 しかし、再び目をぱっと開けた。 ――セブルスのところに行くの忘れてた…。明日でいいか… そしてまた目を閉じると、今度はちゃんと深い眠りについた。 next 2005/12/19 UP --2006/2/1 修正 |