03.ノートの端の落書き

まったく、昨日は散々な目にあった。
のせいで何故か僕もポッターたちと追いかけっこなんぞをする羽目になったし、お陰で今日は筋肉が悲鳴を上げている。
仮に明日筋肉痛だったとしたら、どっかの馬鹿に年寄り扱いされることは目に見えていたからそこだけは不幸中の幸いか。


大広間に着いてスリザリンの席に座ったら、ハッフルパフの男子生徒と目が合った。
こういうときは決まって怯えられる。
だが僕が愛想よくしていたって気持ちが悪いだけだろうが!


バサバサバサ


いつものふくろう便の時間になった。
愚鈍なふくろう達は、生徒のスープ皿に突っ込んでいる。嘆かわしいことだ。
突っ込んだあとのスープを食べている生徒はどのような神経をしているのだろうな。

と、そこへ僕の元へ大きな包みを抱えたふくろうが降りてきた。
僕にふくろう便なんて珍しい。
ふくろうは僕の手元に見事に包みを落とすと、僕の肩に留まった。
賢いのはいいことだが、主人じゃない者の肩に留まるのはいかがなものかと思う。

サラダの乗った皿を避け、包みを開けると、その中身は本だった。
僕がに取られた本か。ふくろうなんか使わずに自分で返しにこればいいものを。

ふくろうは器用にベーコンをつまむと、ふくろう小屋に帰るべく飛び立っていった。









今日の初めの授業は、魔法史の授業だった。
グリフィンドールの奴らからは離れて、前の方に座る。
すると、運悪くと目が合った。
笑顔を振りまきながらこっちに来るな!


「セブルス、隣いい?」
「・・・・・・」
「沈黙は肯定と取らせていただきます」
「・・・勝手にしろ」
「昨日はごめんね?」
「本は返してもらったから構わない」

周りから(特にグリフィンドールから)の視線を感じる。
はにこにこ、とずっと笑っている。
貴様、自分がどれだけ注目されているのか自覚していないのか。
そう聞きたい衝動に駆られた。




単調な授業が始まる。
目の前に座っている男子生徒の頭が揺れている。
・・・爆睡か。

ぼんやりしながらノートを取っていると、左脇から羽ペンと手が生えてきた。
左の方を睨むと、がにやりと笑った。



――お昼休み、図書室で



これは待ち合わせの約束を取り付けられているのだろうか。
・・・仕方ないな。生憎その時間は空いている。断る理由がない。



――分かった。



が書いた下に書き加えると、がにっこりと笑った。
僕は表情を変えなかった。
しかし・・・何で僕のノートに書くのだろう。もっと他に方法があったんじゃないか?
たとえば自分のノートの端を使うだとか。
これではまるで、僕が落書きをしたみたいではないか。





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2006/1/15 UP