「だる・・・」 ひとり暮らしをしているアパートを出て、大学へ向かう。 春生まれは損だ。 友達が出来て、仲良くなる頃には誕生日は過ぎている。 次の年からは祝ってもらえるだろうけど、1回分損してしまう。 でもまぁ、テストに誕生日が被るよりはいいかなぁとか思ってしまうけれど。 新しい生活には多少なりとも不安がある。 教授もいい人だし、同じ学科に数人知り合いが出来たけど。 高校のときの方が、刺激的な生活だったからかもしれない。 何もかもが新しくて。 ザァァァァ・・・・・・ 「ん・・・何・・・?」 唐突に、風が激しく吹いた。 体重が軽い方の私は、耐え切れずに数歩後ろに下がってしまう。 風が弱くなり、前を向くと、目の前には古い井戸があり、奇妙な存在感を醸し出していた。 「ここ、どこだろ・・・」 今までアパートの前にいたのに。 景色が違う。 ウチの近くにこんな場所あったっけ? 頭の中で危険信号が鳴る。 でも、気になる。 引き寄せられるように、私は進んだ。 「・・・なんか気持ち悪い場所だなぁ・・・・・・」 辺りをきょろきょろと見回して井戸の端に座る。 足を組んで携帯を取り出すと、圏外の文字。 《我らが呼びし四神の神子よ》 「誰・・・!?誰か近くにいるの!?」 《我らに力を貸し給え》 「力って・・・ちょっと、え・・・?」 まばゆい光が私を包み、辺りだけでなく私の頭までもが真っ白になった。 四神の神子って、なに・・・? 2006/3/18 UP |