その後、女中さんに言われるがままに、政宗に着物姿を披露することになった。 別に見せに行く必要性を感じないんだけど・・・と言いたかったけれど、 女中さんのあのパワーの前では為す術などなかった。哀川潤の次に最強のこの私が・・・! 「政宗様、よろしいですか?」 「Ahn?何だ?」 「様の着付けが終わりましたので」 「・・・入れ」 是、の返事が来ると、女中さんは「ささ、入って!」と促してくる。 面倒くさい、なぁ・・・・・・。 私が神妙な面持ちで襖に手を掛けると、女中さんは意味深に笑ってそそくさと去っていった。 「入りますよ」 「Oh・・・、着物もなかなか似合うな」 「でも、動きづらい」 「この城に敵が入り込むことなんてそうそうねぇんだ、 戦のときだけ忍装束でも着ればいいじゃねぇか」 「・・・慣れなかったらずっと忍装束で」 「慣れろ」 「えー」 「いいな、You see?」 「分かりましたよーぅ・・・」 眉を顰めて政宗を見ると、立ったままの私に政宗が近づいてきた。 そして、私の首元に手を伸ばしたため、条件反射で身構える。 「じっとしてろ。・・・・・・普通の着方でも悪かないが、ちょっと着崩してた方が粋だぜ?」 襟元を引っ張ったりなんだりして、胸元を開けて、整える。 (多分自分の好みなんだろうけど)自分のアレンジに自分で納得して、政宗はニッと笑った。 「えぇと・・・ありがとう?」 「You're welcome.」 着物を着ているせいなのか、何なのか。 なんだか変な気分だ。 「伊達殿ぉぉぉぉぉっ!」 パコーンッ 「あ゛ぁ?」 「伊達殿!」 襖を勢いよく開けて入ってきたのは、先ほどの叫び声からも察することができると思うけれど真田さん。 「真田さん、どうしたんですか?」 「某、先ほどは伊達殿に失礼なことを!申し訳ありませぬ!」 「・・・そんなことで邪魔しやがったのか、てめぇ」 「お取り込み中でございましたか!?」 「・・・もういい。あぁ、幸村、伊達殿はやめろ。政宗でいいからな」 「了解いたしました、政宗殿!」 それはそれは、まるで飼い主(政宗)に懐く犬(真田さん)のような光景。 「「・・・・・・(犬がいる・・・)」」 「闇口殿も、某のことは幸村とお呼びくだされ!」 「はぁ・・・。私もでいいですよ。ああ、呼び捨てで。 殿は付けないで下さい、私はただの僕なんですから」 「よ、よ、呼び捨てなど・・・破廉恥でござるぅぅぅ!!」 ・・・本当に来るも騒がし、去るも騒がしというか・・・。うん、正直言って本当うるさい。 真田さん――いや、幸村さんの傍にいると、・・・悪いけど結構疲れるかもしれないわ。 だって私、基本ローテンションだから。 「・・・では、そろそろ私も体力の限界なので休ませてもらいます」 「OK,・・・・・Good night」 「おやすみなさい」 「(―――幸村の所為でとのいい雰囲気が台無しだぜ)」 2006/8/11 UP お気に召しましたらクリックお願いします。(ワンドリランキング) |