陣を張る上杉を狙い、春日山に向かって歩みを進めた。 精鋭30人。政宗、私をはじめ、小十郎さんに武田さん、幸村さん、佐助さん ――それと伊達軍きっての兵、いかつい男たち。

野宿もしつつ、1日掛けて春日山近辺に着いた私たちは、夕闇が近づく前に戦を済ませることにした。 佐助さんに聞いた話では、武田さんは上杉謙信と何らかの因縁があるらしく――宿敵、だそうだ。

「政宗様ぁっ!上杉は南にいるそうですぜ!」
「よし、Come on!」

馬の腹を蹴って政宗、武田さん、幸村さんが駆け出す。 私はいつでも飛び降りれるように政宗の後ろにしゃがむように乗り、 政宗の肩に手を置いてバランスを取りつつ、南の方角を目指した。 因みに今回、片倉さん他伊達軍の皆さんは防衛の拠点を崩し、その間に私たちで大将、武将を倒す、 という簡単で分かりやすい作戦。

「もうすぐだな。、Speedを上げるぜ、ちゃんと掴まってな!」
「りょーかーい」
「行くぜ!Ya―ha―!!」





門もなく、坂を上がったところで開けた場所に出る。そこで馬から降り、先へと進んだ。
そして、本陣と思われる場所に一人で立っている男。 きっと上杉謙信なのだろうけど――なんか引っかかるな。 そう思っていたら、伏兵が大量に出てきて、みな武器を構えた。 そんな中、槍を構えたまま真っ直ぐ向かっていく幸村さん。

「上杉殿とお見受け致す!某、真田幸村――」
「待て幸村、ここはワシがやる」
「お館さまっ!」

幸村さんを制して、前に出る武田さん。
私は佐助さんとともに、周りに沸いてくる敵の殲滅作業を行う。
曲絃糸だとお手入れが面倒だから、今回は小太刀だけで応戦。

「ふっ・・・武田信玄とあろうものが、伊達の軍にくだったとは」
「世を平和にするというのは、誰にでも出来ることではない――そなた、上杉謙信ではないな?」
「なにをいっている?」
「・・・長年の因縁、それほどの変装なぞ見破れるわ」
「ふふふ、ハハハ!・・・見破られては仕方ない。謙信様の命は、――私が守る」

一瞬にして、上杉の姿が女に変わる。
否、女に戻った、か。

・・・現代だったら捕まるだろうなぁ、そのカッコ。 公然わいせつ罪、になるのかな。 そういや人識が、白衣に水着の女に会ったって言ってたけど・・・それに匹敵するかも?

「上杉の忍か・・・」
「・・・あいつは・・・っ!」
「佐助さん、知り合い?」
「同郷、なんだよねぇ」

そして佐助さんは、くのいちと相対する武田さんの前に立った。

「大将ここは、俺が引き受けんで、先に行っちゃってくださいな」
「お前は・・・」
「佐助・・・。頼んだぞ」
、行くぞ。幸村は佐助といろ」
「了解いたした!」





再び馬のところに戻り、飛び乗って腹を蹴る。 南に走っていくときに、それらしきものはなかった――ということで、 私たちは逆方向に向かう。南が駄目なら、北だ。

政宗が先陣をきって馬を走らせていると、いたるところで伏兵が出現する。
走っている馬の上からでは小太刀もナイフも使えないため曲絃糸で殺していくが、 殺しても殺しても沸いて出る。蛆虫かっての・・・。

馬が急に止まり、慌てて政宗の首に掴まる。
よく見れば、あと50メートルほど先に門があった。

「ちっ、門か。仕方ねぇな、こっからは馬なしだ」
「OK」

門に向かって走り出す私たちに、立ちふさがる敵。





「――将棋の盤面に招かれざる新しい駒。乱入者とは・・・大誤算も甚だしいですね」





聞き覚えのある声。
前に会った時と同じ、トレードマークの長い髪。
一度命を取り合って、あろうことか引き分けた――いや、負け逃げされた、彼女。


「やっぱり、策士っていうのは《策師》だった、ってわけか」
「Ahn?」
「順当にいって、ここは私のターンです。政宗は見てるかどっか行っててください」
「・・・つれないkittyだな」





得物を片手に相対する。
彼女は、自嘲的に笑い、私は呆れたように笑った。





「まさか、あなたまでこの世界にいるとは――できることならば、 もう敵にはしたくないと思ってたんですけどね。 《瞬間殺戮》 キルモメンツ、闇口
「私もこんなところで会うとは思わなかったよ、澄百合学園の総大将、《策師》・・・萩原子荻」



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2006/8/16 UP
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