「・・・。誰だ、その男は」


門を半壊させる暴挙に出た軋識が出したのは双識もビックリなくらい低い声。
ちょ、マジモードですか。勘弁してよ。似非訛りが抜けてるよ、軋識さん!
私は政宗の肩に手を置き、振り向いたままで硬直し、その状態のまま口を開いた。

「やだなぁ、軋識。キャラ崩れまくってるよ?」
「・・・・・・その男は誰だっちゃ?」

顔を引きつらせて無理矢理笑顔を作って言うと、 軋識は気まずそうな顔をしながらも言い直した。

「聞いて驚け、独眼竜、伊達政宗だよん」
「可愛い声を出して逃げようったって、そうはいかないっちゃ。 どうしてそんな男と一緒にいるっちゃ?」
「えーと・・・うーん・・・・・・実はねぇ――ムグッ」


『闇口』の契約を政宗と交わしたから――だなんて、絶対に言えない。 なぜなら軋識は、私が闇口を名乗り闇口になることを、一賊で猛烈に反対したうちの一人だから。 どう答えようか迷っていると、政宗に口を塞がれる。


の元の世界のヤツか?」
「そうっちゃ」
「フン、俺がどうしてと一緒にいるかって? そんなの、俺がゴシュジンサマだからに決まってるだろ?」


その言葉で、軋識の眉間に皺が寄る。


ああ、この男は。もう――



一番言ってはいけないキーワード、、、、、、、、、、、、、、、 を、当然のように言いやがった。





政宗の誘導でとりあえず城の中に入った私たち。 歩いている途中も、後ろから嫌な視線がザクザクと突き刺さっています。 言わなくても分かるように、軋識の殺意に近いものが混じった視線。 多分その視線は私だけじゃなく政宗にも向いているはず。 軋識のこんな視線を受けて平然としている政宗も、結構凄いと思う。


「ま、ここでいいだろ。入れ」
「・・・・・・」


政宗の言うとおりに部屋に入り、3人して適当に座る。 政宗は向かい合わせで座る私たちを見つつ、腕を組みながら壁に寄りかかって胡坐をかいている。 軋識は一度ため息を吐くと、やっと口を開いた。


?」
「何でしょうか」
「・・・言いたいことは分かってるっちゃね?」




「何でお前が、こんなところで『闇口』の契約を交わしてる?」




視線が、痛い。

「・・・必要、だったから」
「知らない土地で生きていけないほど、は弱くはないっちゃ」
「・・・政宗も困ってたし」
「知らない人を無償で助けるほど、はお人よしじゃないっちゃ」
「・・・・・・」


俯いたままだった視線を、軋識に合わせ、その瞳を睨みつけるように見る。


「――政宗なら、私の力を有効的に使ってくれると思ったからだよ」


半分正しくて、半分嘘。
でも軋識には――納得してもらわなければならない。


「ハァ・・・・・・まぁ――契約してしまったものはしょうがないっちゃ」
「許してくれるの!?」
「しょうがないって言っただけっちゃ!」
「よかったぁ。もし双識になんか言われたら、軋識はいいって言ってくれたって言おう」
「やめろ!」



それから少しの間軋識とじゃれあっていると、政宗からの視線を感じ、「どうしたの?」と聞いた。

「さっきから気になってたんだけどよ・・・。とそいつはどういう関係だ?」
「ああ――この人は、零崎軋識。零崎の『家族』で、 零崎の中では唯一ちゃんと血が繋がっている兄」
「brother?」
「うん。異母兄弟なんだけどね。他とは血繋がってないの。それに零崎の半分は後天的だし」
「・・・後から零崎になれんのかよ」
「なれちゃうんだよねー。殺人鬼として覚醒すれば、めでたく零崎の誕生」
「殺人鬼ねぇ・・・。明智のヤローなんかは零崎になれそうだな」
「明智って誰っちゃ?」

そこで軋識が反応する。

「あぁ、明智光秀ってヤツだ。織田の魔王の飼い犬だが、いつかあいつは飼い主の手を噛むだろうな・・・。 あいつは完璧に変態サディストの快楽殺人鬼だぜ」
「軋識、知らなかったの?ここ、戦国時代っぽいよ」
「――・・・あ、ああ。知らなかったっちゃ。戦国時代か・・・物騒っちゃね」



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2006/8/21 UP
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