と軋識と政宗とでひとしきり雑談した後、 ふとしたきっかけでまた政宗に「勝手に外出するな」と延々と説教され、 途中から入ってきた小十郎さんにもやっぱり説教された。政宗以上に延々と。

・・・怒りすぎでしょ、二人とも。 や、元はと言えば私が悪いんだけどね。ほら、ここまで怒る必要ないじゃーん、みたいな。 むしろ外出したことによって戦力を手に入れたんだからここは褒められて然るべきだと思うんだけど。 ・・・それはないか。

「・・・殿、聞いておられますか」
「聞いてますよー」
「それでは金輪際、無断外出はしないようにお願いいたします」
「・・・えー」
、いいか?これは命令だからな」
「・・・・・・仕方ないなー」


無断外出は、ってことは言えばいいんだよね。 ・・・まぁ簡単に許してくれるとは思えないけどさ。


「じゃぁそろそろ遅いし、私は寝ようかなー」
「本当に分かったんだろうな」
「大丈夫、大丈夫。もう勝手に出かけたりしませんよ」 


すっと立ち上がり、私は自分の部屋へ帰るべく、部屋を出た。






が去ってから少しばかり後、軋識は政宗のことを観察していた。
この男は、本当にの主に相応しい人物なのだろうか、 ただでさえ闇口と零崎の交配種で、しかも自分とは違い、所属しているところは闇口。

零崎はもともとほとんどが血が繋がっていないため生まれたところなどは気にしないけれど、 闇口は違う。 散々闇口と零崎を兼ね備えたの力を使っていたくせに――と、軋識は思わず唇を噛んだ。

もし――もし、あの時、父親と赤色がを闇口から連れ出していなければ。
もし、が零崎で過ごした時間がなかったとすれば。


一体はどうなっていたのだろう。

最初に会ったとき、の眼は死んでいた。 体には無数の痣。誰とも知らない相手に心の底から怒りが沸いたものだった。 もし零崎に来ていなかったら、の精神は崩壊していたかもしれない。


できることならば契約をしない闇口であってほしかった。
完全な闇口でも、完全な零崎でもない、中間地点にあってほしかった。
それは、が、一番傷つかない方法だったから。





「あんた、いつまで俺のことを見てる気だ?」
「・・・軋識でいいっちゃ。――お前も、を道具として見ているのか?」
「道具?」


政宗は少なからず驚き、軋識はそのまま言葉を続けた。


は12歳まで、ずっと道具だった。何故かは想像がつくだろう? 闇口と零崎の異種交配。――禁忌の子だと、闇口は認識した。零崎にいればそんなこともなかったのに。 今更母親を恨んでもしょうがないとは思っているけれど、やっぱりを傷つける原因を作ったのは俺たちの母親っちゃ。――を無理やり引き取ったのは母親だから。 5年間、零崎にいたけれど――17になって、 は自分の意思で闇口に戻り、・・・それから2年、やっぱりは道具だった。 そんなが、こっちに来て楽しそうにしている。
・・・それをぶち壊すようなことをしたら、許さないっちゃよ」

「Ah――その点は安心しろよ。俺は一度たりとも道具だなんて思っちゃいねぇ」
「今のところはそうみたいっちゃね。――に惚れているみたいだし。 ・・・そろそろ俺も寝るっちゃ。ここの部屋、使わせてもらうっちゃよ」

軋識はそういうと、しっしと犬を追い払うように手をひらひらとさせ、政宗を部屋から出した。





「いい兄貴持ってるじゃねぇか、



つーか、何で俺がに惚れてるって分かったんだ?
分かってんなら道具にするなとか言ってんじゃねぇよ。
好きな女を道具としてみるほど俺は落ちぶれてなんかいない。


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2006/8/30 UP
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