「あ、あんた・・・!・・・なんであんたがここにいるっちゃ!」 「・・・朝から怒鳴らないでいただけますか」 子荻ちゃんと2人で朝御飯を食べていると、遅れて軋識が入ってきた。 そして荻ちゃんを見て指差したまま固まる軋識と、 軋識を一瞥したあと、それをスルーして朝食を食べるべくまた目線を戻す子荻ちゃん。 「あれ、軋識と子荻ちゃんて知り合い?」 「ええ・・・以前にちょっと」 「・・・よく言うっちゃ」 ということはつまり、恐らく敵として相対したってことだろうな。 「まぁまぁ落ち着いてよ。よくあることじゃん」 「その通りです。大人気ないですね、零崎軋識さん」 「・・・なんだかムカつくっちゃね」 そのとき、入り口に立ったままの軋識の後方から、大げさな咳払いが聞こえてきた。 「どけ、軋識」 「――・・・ああ、悪かったっちゃ」 「――突然だが」 それぞれが朝食を粗方食べ終わったところで、政宗が箸を置き、真剣な表情になった。 「ここのところ戦続きだが、近いうちにもう1戦やることになりそうだ」 「・・・どこの軍と?」 私が聞くと、政宗にしては珍しく憂鬱そうな表情でため息を吐いた。 「四国の長曾我部が九州を統合して、活気付いてる。 しかも情報によると、中国の毛利と同盟を組むらしい。これを放っては置けないからな」 「でも、さん。ここから南に行くとなると他人の領地を通ることになりますよね?」 「・・・織田軍、前田軍の領地を通るか、豊臣軍の領地を通るか――かなぁ」 「それだったらどっちを通っても同じだっちゃ」 「いや――織田の領地はなるべくなら通りたくねぇ。今回は前田の領地を通っていく予定だ。おい、小十郎」 政宗は軋識の方を向いて言い、小十郎さんに説明をさせるべく彼の名前を呼んだ。 「・・・今回は軍をいくつかに分け、時間差を設けて移動します。 前田利家殿には既に連絡を取りましたゆえ、行きは難なく南に向かえることでしょう。 織田軍、前田軍に手を出さなければ利害は一致していますからね。 ・・・そして帰りは、兵の疲労次第で予定を変えますが―― 稲葉山にいる豊臣軍の軍師、竹中半兵衛殿と戦をし、豊臣本軍が来る前に退却します」 「稲葉山、ねぇ・・・」 割と行き当たりばったり、って感じかも。 「黒脛巾組の情報によると、現在豊臣秀吉殿と竹中殿は別々に行動し、竹中殿は稲葉山を守っている様。 いずれする豊臣軍との戦のために、個々突破するのです」 「なるほどね、分かりました」 小十郎さんの言葉に頷く。すると、今まで黙っていた子荻ちゃんが口を開いた。 「で、いつから行くんですか?」 「1週間後だ」 「ふうん、今回は結構余裕があるんだ」 「まぁ、行く先が行く先だからな。長旅だ。仕方ねぇ」 話が一段落したところで、私は手を合わせてごちそうさま、と言った。 「じゃあ楽しい楽しい戦の前に、特訓でもしてきますよ」 「、何するつもりっちゃ」 「ここには優秀な忍さんがいるからね。更にパワーアップするつもり」 「Ah?佐助に忍法でも教わんのか?」 「そんなところー・・・。じゃ、またね」 子荻ちゃんに軋識。 もしかしたら他の殺し名、呪い名もこの世界に来てるかもしれない。 爆弾を抱えたこの体だけど、唯一の主人のために頑張ろうじゃないか。 そのためには・・・今のままでは不十分だ。 せめて潤ちゃんに匹敵するくらいまで自分を高めたい――。 私は、短い期間ではあったけれど同じ時間を共に過ごした自分の主人、伊達政宗に、心の中で改めて忠誠を誓った。 2006/12/11 UP 説明部分が上手く書けませんでした・・・。いつか書き直します。 |