「あれー。何処行ったんだろー。この私を置いてくなんて百年早いっつーの。あ、ヤベ、主だった」

思っていることをそのまま口に出すこと数分間。 私は時たま襲ってくる兵を薙ぎ払いながら、のんびりと歩いていた。 後ろからやってきた気配に振り向いて刀を振りかざして一瞬停止。

「あー、その家紋は伊達軍か。すみませんね。敵かと思ったので」
「・・・失礼ですが貴方は伊達の軍の方ですか?見覚えがないのですが」
「伊達の軍――といえば答えは否ですね。正確に言うなら『伊達政宗の下僕』ですね」
「はぁ・・・。私は片倉小十郎景綱です」
「私は、闇口です。色んな二つ名があるんですけど、本名だけでもいいですよね。 あーやっぱり追いかけなきゃいけないかなー。面倒くさいなー」
「闇口殿!早く政宗様に追いつかなくては――」
「仕方ない、か」


あとで文句を言われないように後ろから脇の下に腕を回して、 先ほど政宗にしたように、持ち上げて移動する。 身長差があるからちょっとキツいなー・・・。せめて背負うべきだったか。 でもそうしたら男のプライドを訴えられそう。

「片倉さん、政宗を見つけたら教えてくださいねー」
「・・・・・・」

驚いて声が出ない、かな。





1分もかからずにあたりを周るようにして移動してきたが、ちょうど円の中心部分に来たところで、 片倉さんが「政宗様を見つけました、降ろしてください!」と言ってきた。 ちぇ、真ん中にいるんだったら遠回りする必要なかったな。数秒ロスしたよ。

ちょっと通り過ぎてしまったのでゆっくり戻ってから無事地面に降りると、 片倉さんはかなり安心しているようだった。 事前説明必要だったか。 それともアレですか、枝に着地してまた飛ぶときに衝撃の反動で落ちそうになったのが原因ですか。

「あー。大丈夫、ですか?」
「・・・はい、なんとか」
「じゃぁ周りの敵を殲滅しますかー」

片倉さんはひし、と固まる。 そりゃぁ降ろされたところが敵のど真ん中なら誰でも驚くよね。

「周りに味方いますか?」
「いえ・・・このあたりにはいません」
「そうですか。じゃぁ、動かないでいてくださいね。命の保証はしませんよ」

まだ、均衡状態。
曲絃糸でいくか、小太刀でいくか。
この距離だと曲弦糸だとロスが出るな。

一瞬で考えて、構えをとる。

「片倉さんは私が殺し損ねた人を殺してくださいね」
「分かりました」



《死の舞》 ダンスオブデス が始まりを終わらせましょう。 《死舞い》 ジ・エンド



飛び出してくるくる、くるくると舞うように体を動かし、刀を振るう。 前に潤ちゃんに『高速で剣舞をする女』って言われたっけ。高速ってなんだよ。
圧倒的な強さを見せ付けると、射程距離以外にいた敵兵は、腰を抜かして逃げていった。
片倉さんに事後処理頼んだ意味ないじゃん。



「敵前逃亡は士道不覚悟、だよ。つまんない」



びゅんと刀を振って血を払う。
片倉さんは・・・ちょっと唖然としてた。


「貴方が敵じゃなくてよかったです」
「はは。もっともだ」



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2006/8/4 UP
2009/2/14 微修正